東京の郊外の大学に通う花(はな)は、おおかみの血を引く《おおかみおとこ》「彼」と恋に落ちた。
共に暮らし始めた二人の間に生まれてきた子どもたちは、「人間とおおかみ」のふたつの顔を持つ、《おおかみこども》だった。二人は、雪の日に生まれた姉に雪(ゆき)、雨の日に生まれた弟に雨(あめ)と名づけた。
4人のつつましくも幸せな日々は、「彼」の死によって突然奪われてしまう。残された花は、「二人をちゃんと育てる」と心に誓い、子どもたちが将来「人間か、おおかみか」どちらを選ぶこともできるように、豊かな自然に囲まれた田舎町のおんぼろの古民家に移り住むことを決意した。
人目を避けて引っ越してきたはずだったが、農作業を通じて知り合った地元の老人・韮崎(にらさき)や里の人たちのお世話になり、花は人の繋がりの不思議さと感謝の気持ちを感じるのだった。
ある雪の日、ヤマセミを捕ろうとした雨が川に落ちてしまう。何とか助け出された雨は、初めての「狩り」を興奮気味に語る。おとなしくひ弱だった雨は、この日を境に大きく変化し始める。
一方、6歳になった雪は、「みんなと同じことをしたい」と、里の小学校に通い始める。花は、「何があっても人前でおおかみにならない」ことを条件にする。しかし、転校生の草平(そうへい)の何気ない一言でおおかみに変身してしまった雪は、もう学校にとどまることができない、と泣く。花はそんな雪をやさしく見守るのだった。
1年遅れで小学校に入学した雨は、なかなか学校に馴染めなかった。雨の中では「野生」が目覚め始め、自然の中で見つけた新しい世界に惹かれていたのだ。
そんな雨に雪は「私たちは人間として生きるべきだ」と、激しい諍いになる。かつては、年上で体力も上だったはずの雪は雨にまったくかなわず、ぼろぼろになってしまう。
雨も雪も自分の道を歩み始めている。望んでいたことなのに、どうしてこんなに不安になるのだろう。花は「彼」の写真に語りかけるのだった。
そして、運命の日、里と山とに大嵐が吹き荒れる。
「まだ、何もしてあげられてないのに」という花の思いをよそに、雪と雨、二人のこどもたちに大きな決断のときが迫っていた。
監督・脚本・原作 | 細田 守 |
脚本 | 奥寺佐渡子 |
キャラクターデザイン | 貞本義行 |
作画監督 | 山下高明 |
美術 | 大野広司 |
CGディレクター | 堀部 亮 |
色彩設計 | 三笠 修 |
2012 | シッチェス・カタロニア国際映画祭 |
2012 | BFIロンドン映画祭 |
2012 | ドバイ国際映画祭 |
2013 | ニューヨーク国際子ども映画祭 |
2013 | ストックホルム国際映画祭 |
2013 | シアトル国際映画祭 |
2013 | ザグレブ・アニメーション世界映画祭 |